♣︎ブラボーランド銀塩ギャラリー♣︎

今井秀実 第1回写真展

モノクロームの純真  

〜銀塩回帰の旅、100人の素顔たち〜

 

2021/2.12(Fri)〜2.17(Wed)

10:00-20:00(最終日17:00まで)

入場無料

 

新宿眼科画廊

 東京都新宿区新宿5-18-11

[tel] 03-5285-8822

[mail] info@gankagarou.com

[HP] www.gankagarou.com

 「いつか写真展をやってみたいなあ」と思いながら、心のヤルヤル詐欺を延々続け、還暦を越えてしまった。「写真展やろう!」と決めて、事務所に近い『新宿眼科画廊』を押さえたのが昨年の8月。「まだ、半年あるさ」と、お気楽に考え構えていたせいで撮影は遅々として進まず、年が明けてから焦り出した。「いつか」では何も生まれない。作品がこの世に出るのは、締め切りがあるから、とつくづく思う。

 さて、記念すべき初の写真展であるが、コンセプトは『銀塩回帰の旅』。銀塩とはフィルムのこと。フィルムの成分に含まれている塩化銀からの名称で、フィルムカメラは銀塩カメラと呼ぶ。現在のスタンダードであるデジカメが普及しだしたのは'00年代になってからで、それ以前はカメラといえば銀塩カメラのことだった。当時カメラマンを志す者は、みんな暗室作業を行っていた。デジカメとパソコン同様、銀塩カメラと暗室は切っても切れない関係。小生も部屋の台所を、光が入らないように黒いカーテンで目貼りをして暗室にしていた。今では銀塩カメラで仕事をする機会は全くない。それでも暗室を残しているのは、単なるノスタルジーばかりではなく、暗室作業を通じて、原点を忘れたくない気持ちが強くあるからだ。あの頃に還る『銀塩回帰の旅』。暗室作業の楽しさがプロのカメラマンになった原点である。

  銀塩カメラに較べるとデジカメは、本当に便利な現代の機器である。デジカメでは撮ったらすぐ画像をチェックできるし、明るさや色合いもパソコンで補正できる。「写っていない」という失敗はデジカメにはない。銀塩の場合、現像するまで写っているのかわからないし、フィルム現像でしくじったら一巻の終わりである。現像したら大事な写真が写ってなくて、ショックで廃業したカメラマンも何人か知っている。さらに、デジカメなら何も気にせず何カットでも撮れるのに対し、銀塩では撮った分だけ経費がかかる事情もあって、撮る枚数が限られている。だからシャッターを押す際の集中力が高いのである。しかも、銀塩は修整ができない。「純真」とは、純粋と真実を組み合わせた言葉。面倒くさいし、フットワークもわるいし、嘘もつけない。そんな古風で不器用なヤツだから『モノクロームの純真』。銀塩は健気でかわいい。

 開催を決めた頃は「100人撮る!」と大口をたたいていた小生だが、年が明けて、開催が2ヵ月先に迫っても製作はなかなか進まず。そんなだらしのない小生を見かねてか、ゴールデン街行きつけの店のKママが、常連のお客さんにハジから声をかけてくれ、最終的には93人を撮ることができた。100人にはわずか届かなかったが「アラハン(ドレッド)」ということで、サブタイトルに「100人」と入れさせていただく。作品製作にご協力いただいたみなさん、ありがとうございました(今井秀実)

〜BL銀塩ギャラリー〜